あるき みちにおく ことば


by iceman0560
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カテゴリ:書き物( 104 )

こいのうた

そうだ恋の歌を歌おう

閃いて、たまの行動力が伴って、
ステッカーも貼っていない
「自分プロの置物っす」
とでも言いだしそうな新古品っぽいケースにいれて、
ギターを背負って飛び出した

Suicaを忘れたことに駅で気がついて
切符売り場に迷いながら切符を買って
今電車に揺られている

行先は海でいいかな、いやでも梅雨か
終点までに決めればいいかとあたりを見回す

ネクタイを締めたサラリーマン
参考書を広げる高校生
スマホを熟年の職人のように操作するお姉さん
おしゃべりしているご婦人

流れていく景色と目の前の変わらない景色に感謝
と右脳で考えながら左脳で何を歌おうかを考える

誰かのための曲?
誰かに贈るうた?
失恋ソング?
いっそ人類愛?

ああでもないこうでもないと頭をかき混ぜて
終点のアナウンスが流れる

仕方ない、降りよう
ケースを背負ってドアをくぐり少しだけ雨に濡れる

額から垂れて口に落ちた雨粒を舐めて考える
そうだ、まずは恋をしよう

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by iceman0560 | 2018-06-04 07:46 | 書き物

いつかの空の下。
浮かぶ雲を見上げながら振り返る。
記憶の底、最古の澱み。



視界に映ったそれはただ高く、閉塞。
だから僕は目を閉じる。



無味な世界からの逃避。
すべてが補完できる想像を求めた。
無意味な世界への反抗。

いつからか、僕は歩きだした。
方法なんて知らなかった。
だけど気がつけばここにいる。

見上げた空の色、遠く高く果てしなく

闇色の中に輝く白たちを見ながら過去に浸る。

最古の記憶、寂寥の記憶

またいつかの空の下。
雨を瞳に受けながら歩く。

行く先に、あるものは―

手のひらのぬくもり。
やわらかな髪の毛と体温、鼓動。
君の証。

膝を抱えていた君。
色を知らなかった君。

そんな君に触れた。
そんな君を触れた。

行く先に、あるものは―

君と歩く。
花が咲き、花が舞い、花が散る
過ぎゆく景色は緩やかに、確実に前へと進む

一歩先の未来
一歩進んだ現在

いつだって先を示すのは僕
君は何も言わない
ただ、共にいる

大切なものを、見つけたから。

強く握り締めた、この手も
決められた道を歩くだけの、この足も
前を向くしかなかった、この目も

今度は君が誰かの光になる
誰かの手を引いて
誰かに合わせて
誰かを導く

見上げた空の色、遠く高く果てしなく

行く先に、あるものは―

終わらない、繰り返し

はるかな先、いつかたどり着く場所で
君を待ちわびながら思う

今がずっと続けばいい
叶わぬ願いだとしても

側にいたい

けれど、覚めない夢はない

だから

いつか僕がいなくなっても
君は一人で歩き出せる

そうだろ?
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by iceman0560 | 2010-04-23 00:39 | 書き物

老人

ああ、今日もいる。

自転車で走りながらその姿を目の端に捉える。
ベンチに座り杖をついている。
白髪を後ろに撫で付けた老人はその姿勢のまま微動だにせず遠くを見ている。

その老人に気づいたのはいつだっただろうか。
時の流れが無関係であるかのようにその老人は常にそこに居た。
小奇麗な格好と柄の違いからずっとそこに居るわけではないのはわかる。
だが、そう思わせるほどに老人は居続けているのだ。

老人を最初に見たのはいつだっただろうか?
最初の記憶は10年以上も前になる。
それから、それ以前から老人はずっとそこに居た。

ああ、今日もいる。

いつもの通り道、そばの公園。
その中にあるベンチで老人は今日も座っている。
いつものように杖をついて、遠くを見て。

なんとなく、目が合った気がした。
そのまま導かれるように公園へ入っていく。
老人は動かない。
気のせいかと思いつつベンチの横を通り抜ける。

「…がな」
風の隙間に声が聞こえた。
「え?」
思わず老人を振り返る。
老人は相変わらず遠くを見つめている。
「妻がな」
もう一度声がした。
「約束なんじゃ」
老人は遠くを見つめたまま続ける。
「帰ってきたら公園のベンチで会おう、とな」
かすれたようなその声はとても疲れた響きを帯びていた。
「ずっと、待ってらっしゃるんですか?」
こちらの問いに老人は軽く頷く。
「じゃがそれも今日で終わりじゃ」
淡々と老人は続ける。
「そういって出かけていった妻は帰らず眠り、今朝逝った」
しばしの間をおき、続ける。
「わしがここにいる理由もなくなった」
と、過去を振り返るようにゆっくりと搾り出した。

「すまんの、変な話を聞かせて」
立ち上がりながら老人は言った。
「いえ…」
意外にしっかりとした足取りに驚きながらも、返す。
「あんたがいてよかったよ」
軽く微笑み、老人は去っていく。

―――ほかに方法を知らなかっただけさ
背中が、そう語っているような気がした。

それから、老人は見ていない。
公園には主の居なくなったベンチが今もある。
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by iceman0560 | 2009-11-30 22:57 | 書き物

無題

手元には一冊の本がある
タイトルは擦り切れて読めない

いつからそれを持っていたのか
そんなことを思いつつ開く

文字の羅列が続く
客観的な描写が続く

いつしか世界に引き込まれる
ページをめくるペースが速まる

先を知りたい
その衝動に身を任せる

その先にあるのは終わり
気だるさと若干の達成感

何十、何百回と繰り返してきたこと
出会い、はまり、別れる

いつだってその繰り返しだ
そして後悔もまた

甘いだけの果実はすぐ飽きる
苦いだけの果実は食べきれない

時に甘く、時に苦く
そんな至高を求めて

僕は今日も出会いを求める
先に別れが待っているとしても
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by iceman0560 | 2009-03-23 20:19 | 書き物

心象風景 Side:A


いつかの流した涙は
どこにある?

いつかの落とした心は
どこにある?

花吹雪舞う空の下
君がくれたもの

君と口を合わせた
小さな永遠

今もこの胸にある
この気持ち

小さな
本当に小さな

カケラになった君は
どこにいる?


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by iceman0560 | 2008-02-02 11:06 | 書き物

祈りの往く道

僕は歩いている
霧の中 森の中を

僕は歩いている
手探りで ふらふらと

時には木の根に躓き
時には来た道を戻る

晴れた日には黄金に包まれて
雨の日には灰色に包まれる

深い深い森の中
ただ歩くだけの僕
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by iceman0560 | 2007-12-24 20:01 | 書き物

無題

君だけのためにと歌い
君だけのためにと願う

自分で語ることのできない
卑怯者の言い訳

恋に自分を重ねて
愛に自分を見る

そうやって流されて
交わって分かれた道の先

何も残らない自分が怖くて
そんな自分を見るのが怖くて

また誰かを探す
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by iceman0560 | 2007-12-11 09:59 | 書き物

ゆめ

ある夜、夢を見た
夢の中で誰かが問う

涙を流さぬために強くなる
涙を忘れるために強くなる

どちらがいいのかと

どれくらいかのあと
僕はそれに答えたはずだ

僕はそれを覚えていない
ただ、答えたことは覚えている

誰かはそれを聞いて笑った
僕はそれでなぜか安心した

そこで目覚めた
頬には涙が伝っていた
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by iceman0560 | 2007-12-04 17:26 | 書き物

道しるべ

僕は君の前に立つ
キミは何故と問うだろう

僕は答えない
そして君に問う

進むのか、戻るのかと
少し後、君は答えを告げる

僕は道を譲る
君は再度歩き出す

その背に僕は問う
何故、それを選んだのかと

そして僕は続ける
その理由を忘れないで欲しいと

選択が持つことの意味を
自分で決めることの意味を

とんでもなく不器用で
とんでもなく優しい僕の

おくりもの
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by iceman0560 | 2007-11-26 00:50 | 書き物

Sound

僕らの耳は音を捉える
人の声、鳥の声、雨音、遠雷

近いもの遠いもの
けれども確かにそこにあるもの

僕らの耳は音を捉える
そこに何があるのかを感じるために

目だけじゃ見得ないものがある
手だけじゃ触れられないものがある

だから僕らの耳は音を捉える

見得ないものを聞くために
触れられないものを聞くために

大切なものを離さず、逃さないために
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by iceman0560 | 2007-11-13 15:03 | 書き物