あるき みちにおく ことば


by iceman0560
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Passage #2 Prelude

 雪が、降っていた。
 それは、すべてを白く染めるように。
 すべてを消してしまうように。
 静かに、降っていた。
 吐く息が白い。
「寒い」
 今更ながらの現実に飛びかけていた思考がクリアになる。
 ここは秘密の場所だ。
 うっそうと茂っている森の中、そこだけがぽっかりと開けている。
 円形の、3メートルくらいの空間だ。
 見下ろす先には、街。
 降る白に抗うように色とりどりの光が主張している。
「Silent night,holy nightか……」
 かすかに聞こえてくる街のリズムに声を合わせる。
 静かで幸福な夜。
 聖夜。
 奇蹟の起こる夜。
「どうなんだろうな」
 つぶやき、息を吐く。
 言葉と共に白が飲み込まれていくのをそのままに任せ、空を見上げる。
 相変わらず雪は勢いをそのままに降り続ける。
 すべてを白く染めるように。
 すべてを消してしまうように。
 静かに。
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by iceman0560 | 2006-01-09 17:33 | 書き物